B-29のエンジン

2号館1階にはB-29(スーパーフォトレス)のエンジンがあります。戦時中迎撃された機体から回収したものだそうです。B-29は日本に対する主力爆撃機であり、広島に原爆投下した機種(機名:エノラ・ゲイ)なので日本人には有名です(ヨーロッパ戦線では映画「メンフィス・ベル」にも描かれているように主力爆撃機はB-17フライングフォートレスです)。エンジンは複雑な構造をしているのがわかります。当時、B-29のように現在の航空機と同じ高度10,000m以上の高高度を飛行できる航空機はほとんどなく、迎撃困難だったそうです(戦闘機・飛燕を改造して特攻した例はあるようですが)。しかし、高高度を飛ぶと爆撃精度が落ちるので通常の爆撃ではより低空を飛んでいたそうです(そのため高射砲で迎撃されたと思われます)。漫画「はだしのゲン」でも、ゲンが原爆投下するB29を見上げて「B-29だ、いつもよりずいぶん高いとこ飛んでいるな」と言っています。B-29は当時最新の機体ですが、信頼性には問題があり、離陸直後に墜落する確率も高かったそうです。そのため、広島に原爆を投下したエノラ・ゲイに搭載した原爆(リトルボーイ)の信管はテニアン島の飛行場を離陸後に取り付けたそうです(格納庫は低気圧・極寒なので手袋をして取り付ける作業は苦労したそうです)。

戦後は電子技術の発展により、電子・情報分野へと技術のスポットライトは移っていきますが、このエンジンを見ても、呉にある大和ミュージアムの展示物を見ても当時の機械工学、重工業(ヘビーインダストリー)の技術には目を見張るものがあり、感銘を受けます。

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平野拓一,「通信がみえる一枚の写真:原爆に使われた高度計用アンテナ」, 電子情報通信学会通信ソサイエティマガジン(B-plus), No.39, 2016年12月(冬号).

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